刑務所内の人間関係を通して、冤罪によって投獄された有能な銀行員が腐敗した刑務所の中でも希望を捨てず、生き抜いていくヒューマン・ドラマ。(Wikipediaより)
この映画のテーマは「希望」。それも、夢を追い続け、叶えるための希望です。
舞台は刑務所という、塀に囲まれた狭い世界ですが、これはそのまま、自分の暮らしている環境に照らし合わすことができます。
常識に囲まれた日常、決まったルーチンワーク、監視社会、そして夢はいつの間にか塀の外。
しかし年月が経つにつれ、夢を追うことを忘れ、夢を見ることを忘れ、夢の存在さえも忘れていきます。
そしてそれが、当たり前になる。
モーガン・フリーマン演じるレッドは言います。
- なんとでも言え。だがあの塀を見ろよ。最初は憎み、しだいに慣れ、長い年月の間に頼るようになる。"施設慣れ"だ。
そこに、ティム・ロビンス演じるアンディが刑務所に入所します。
アンディが屋外(刑務所内ですが)を歩く姿を見て、レッドは思います。
- 彼は気取って見えた。それもそうだ。物腰がここの連中とは違う。公園でも散策するかのように歩いていた。自分だけの世界を持っていたのだ。
夢を追い続けるアンディの姿は、囚人たちに奇異に映ります。
そして、 夢を追い続けることは決して生易しいものではなく、様々な妨害があり、また他人に利用されることもあります。
しかし、アンディは諦めることなく、長い時間と気の遠くなるほどの労力を、夢に注ぎ続けます。
そう。「希望」を持って。
- 心の豊かさを失っちゃダメだ。人間の心は石でできてるわけじゃない。心の中には何かある。だれも奪えないある物が。君の心にも。希望だよ。
レッドは、そういうアンディの姿勢に危機感を覚えます。
- お前に言っとくが、希望は危険だぞ。正気を失わせる。塀の中では禁物だ。よく覚えておけ。
そして、レッドの危機感は的中し、ある日アンディに2ヶ月の懲罰房行きの刑が処されます。
懲罰房の刑期を終え、精も根も尽き果てたと思われたアンディ。
しかし、それでも彼は、夢を諦めることはありませんでした。
アンディはレッドに向けて、ホテルオーナーになりたいという塀の外での夢の暮らしを語るのでした。
- 私は妻を撃っていない。十分すぎる償いもした。ホテルやボートくらいささやかな夢だ 。
それを聞いたレッドは愕然とします。
- そんな夢は捨てろ。夢のまた夢だ。お前は今、ムショの中なんだぞ!
それにアンディはこう答えました。
- ああ、そのとおりだ。『冷酷な現実』だな。選択肢は2つだけ。『必死に生きるか』『必死に死ぬか』。
『冷酷な現実』が、夢を叶えるには厳しすぎるこの現実であるとするならば、『必死に生きる』ということは、それでも諦めずに夢を追い続けること。そして『必死に死ぬ』ということは、夢や希望など、この世界にはないんだと自分に言い聞かせること。
必死に生きたアンディは、塀の外に出ることに成功します。
長い時間と気の遠くなるほどの労力をかけて。
460mの下水道を進むシーンは、夢へと続く道の険しさを、これでもかというほどに表現しています。
そして、長く暗い下水道を抜けて...
アンディは夢を叶えることに成功しました。
アンディのいなくなった刑務所内。
アンディは、まるでヒーローのように語られています。
レッドも例外に漏れず、アンディと過ごした日々を、良い思い出であったと感じていました。
終身刑40年目の日。
レッドに幾度目かの仮釈放委員会が開かれます。
これまで仮釈放を「選ばなかった」レッド。
しかし今回、レッドは仮釈放されることを「決意」します。
その決意は、アンディからの影響を受けたに違いありません。
夢をもう一度見てみたい。もう一度...
しかし...
- 40年間、許可なしでは小便もできなかった。『冷酷な事実』だ。シャバでは生きられない。仮釈放が取り消しになれば刑務所へ戻れる。毎日が恐ろしい。ブルックス(以前、仮釈放を受けたが、塀の外の生活に堪えられず自ら命を絶つ)と同じ心境だ。安心できる所へ行きたい。おびえなくて済む所へ。
束の間、夢を見ることはできました。しかし、塀の中での生活に慣れすぎていたため、どうすれば良いか検討がつかないのです。
レッドは安心できる所へ行きたくてたまりません。それは、塀の中での生活です。もしくは、死後の世界。
希望を失いかけたレッドは、ここでアンディとの約束を思い出します。
レッドが仮釈放されたとき、果たすべきアンディとの約束を。
その約束とは、ある場所にアンディが用意した、贈り物を受け取ることでした。
贈り物を見つけ、添えられた手紙を読むレッド。
手紙にはこうありました。
ーー
レッドへ
仮釈放おめでとう ついでに私の所へ来てくれ
町の名を覚えているか?
仕事を手伝ってほしい チェス盤も用意した
レッド
希望は素晴らしい 何にも替え難い 希望は永遠の命だ
これを読む君が元気だといいが
アンディより
ーー
希望を取り戻したレッド。
荷物をまとめ、アンディの元へ旅立ちます。
ーー
必死に生きるか 必死に死ぬか
俺は生きるぞ
人生で2度目の罪を犯した 仮釈放違反
町を出ても追っては来ないさ 老いぼれ1人を
ワクワクして落ち着かない
自由な人間の喜びだ
この長旅の結末はまだ分からない
国境を越せるといいが
親友と再開できるといいが
太平洋が青く美しいといいが
俺の希望だ
ーー
私たちの多くはアンディではなく、レッドです。
もしかすると、レッドですらないかもしれません。
アンディのように夢を叶えるために努力をする人を、嫉むこともあるでしょう。
ひがむこともあるでしょう。
妨害することもあるかもしれません。
なぜなら、塀の中での生活が安心だからです。
塀の外のことなんて考えたくないからです。
しかし、レッドは気付きました。
塀の外には、本当に素晴らしい世界があることを。
そしてそれは、叶えられる夢であることを。
夢が叶うことを信じ、
アンディに出会い、
長い時間と気の遠くなるほどの労力をかけて、
あなたの夢を叶えましょう。
「希望」を持って。