魔王/伊坂幸太郎

2016年09月25日 00:00

『大衆心理の危うさ』 

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魔王 (講談社文庫)

「魔王/伊坂幸太郎」(講談社文庫)


安藤には2つの特徴がある。

1つは、何事も深く考察すること。

2つは、自分の思ったことを他人に喋らせることができる「腹話術」の能力を持っていること。

物語の世界は、今まさに新たな国のリーダーが誕生しようとしている。

自国を憂い、強い国家を取り戻すと主張する若き政治家は、多くの民衆、そして世論を味方につけていく。

安藤はファシズム運動に似たこの世相を深く考慮し、危険と感じたこの政治家に「腹話術」で挑もうとするが...。

この作品のテーマは「大衆心理の危うさ」にあると思います。

不満の飽和した社会に強いリーダーが現れたとき、世論は一つになり、歴史の過ちを再び繰り返すことにも繋がるのではないか。

超能力というSF風味をスパイスに、大衆心理の危うさに一石を投じる一冊だと感じました。

<目次>

魔王

呼吸

読書時間:短 ■■□□ 長
読み易さ:易 ■□□ 難

<一節ピックアップ>

「じんわりじんわり、効くんだよ。人間はムードで流されるからな。とにかく、景気が良くなりそうだっていうムードができれば、みんな、動き出す。ようするにみんな、自分だけが馬鹿を見たくないってそれしか考えてないんだ。単純なもんだ。」

<あわせて読みたい>

「ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎」(新潮社)

「火星に住むつもりかい?/伊坂幸太郎」(光文社)


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