常識を疑え!
「日本をダメにしたB層の研究/適菜 収」(講談社)
読み手の受け取り方しだいで、評価が明確に2分する一冊だと思います。
読む際は、著者の勢いに呑まれない様、気をつけて読むことをオススメします。
B層とは何か。
様々な場面で定義づけされていますが、私は「凡庸であることを自覚しつつ、凡庸たることの権利を主張し、圧倒的な自信の下、浅薄な価値観を社会に押し付けようとする存在」と規定した、オルテガ・イ・ガセットの大衆の定義が、一番納得することができました。
凡庸であるわれわれは、たしかに、政府やマスコミからの「気の利いた」キャッチコピーなどに流されやすく、また、浅薄な価値観は、世論として利用されているだけかもしれません。
そうした現代社会の風潮を、攻撃的に指摘する著者に対して不快感を覚える方がいらっしゃるのも無理もありませんが、もしかすると、「教養を身につけろ」という著者からの応援メッセージだったりするのかもしれません。
「3、000年の歴史から学ぶことを知らないものは、闇の中にいよ」というゲーテの言葉で自分を戒め、なお一層の学びが必要であると、私は感じました。
<目次>
第一章 B層とはなにか?
第二章 今の世の中はなぜくだらないのか?
第三章 今の政治家はなぜダメなのか?
第四章 素人は口を出すな!
<一節ピックアップ>
「近代大衆社会の末路について、過去の賢者が示した姿は、決して明るいものではありません。そこでは、知が軽視され、無知が称揚される。バカがバカであることに恥じらいを持たず、素人が素人であることに誇りを持つ。素人が圧倒的自信を持って社会の前面に出ていく。こうした社会の主人公がB層です。B層とは、近代において発生した大衆の最終的な姿です。」
<関連書籍>
・「99%の人が知らないこの世界の秘密 <彼ら>にだまされるな!/内海聡」(イースト・プレス)
・「覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰」(サンクチュアリ出版)
読書時間:短 ■■□□□ 長
読み易さ:易 ■■■□□ 難
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