ガソリン生活/伊坂幸太郎

2017年01月28日 17:03

『2つの視点で描かれる物語』 

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ガソリン生活 (朝日文庫)

ガソリン生活/伊坂幸太郎」(朝日文庫)


スキャンダルの渦中にある有名女優が、自動車事故によって突然の事故死。

物語は、この出来事を中心に描かれていきます。

面白いのは、主人公からの視点だけではなく、主人公の愛車の視点からも同時に物語が進行していく点。

まるでアニメ映画「カーズ」を彷彿させる、車種によるキャラクタ設定や車同士の会話。

読んでいてとてもワクワクするものでした。

この作品のテーマの1つに「ニュースの在り方」というものがあるかと思います。

ニュース記事を作る記者は、ほんとうに知らせたいニュースを作っているのか。

それとも一般的にウケのよい、視聴者に好んで読まれるニュースを作っているのか。

後者であれば重要なニュースは他に埋もれ、当のニュースの真相も二の次になってしまうかもしれません。

しかし、現実のニュース記事もそれに似たようなものではないのか。

フィクション小説に必ず存在する潜在的なテーマ。

今回はそうしたニュースに対する風刺を感じた一冊でした。

<目次>

Low

Drive

Parking

エピローグ

読書時間:短 ■■■□□ 長
読み易さ:易 ■□□□□ 難

<一節ピックアップ>

「『芸能人がくっついたり離れたりするニュースなんてくだらない』とよく訳知り顔で言う奴がいるだろ?俺たちが、それを知らないと思ってるのか。くだらない、と分かってるに決まってるだろうが。百も承知だ。ただ、そういった記事があれば、読みたくはなるんだ。たとえば、スナック菓子がなくても、人間は生きていけるだろ?栄養価があるとも言えない。じゃあ、栄養がないんだからスナック菓子を作るな、と君たちは思うか。栄養がなくとも、スナック菓子を食べたくなる人は多い。製造する会社があってもおかしくはないだろ」

<あわせて読みたい>

「死神の精度/伊坂幸太郎」(文春文庫) 

「一九八四年[新訳版]/ジョージ・オーウェル」(ハヤカワepi文庫)


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