「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争/辻井真佐憲」(幻冬舎新書)
「大本営発表」という言葉が、戦後再び注目を集めるようになったのは、2011年の東日本大震災からでしょうか。
当時、政府・東電・マスコミによる情報隠しが公となり、メディアによる情報の信頼が大きく失墜することになりました。
戦前戦中に行われていたあの大本営発表がそのメタファーとなった理由はなにか。
そして私たちは、その理由、その歴史から何を学び、どう行動していくべきなのか。
著者の圧倒的な史料調査から浮かび上がった大本営発表の実態。
戦況が悪くなるにつれ、正確な情報をもたないまま軍が偽りの発表をしていく有様。
現在においても、私たちの耳に入るニュースは単なる結果であり、そのニュースのできあがる経緯を知ることはできません。
しかしそこには、発表側の思惑、操作が介されているということを、この歴史から学ぶことができます。
情報を鵜呑みにするのではなく、今なぜこのニュースが流れているのか。
また、どういった経緯でそのような内容になったのかを考えることは、大変重要なことだと思います。
<目次>
第一章 日中戦争と大本営発表の誕生
第二章 緒戦の快勝と海軍報道部の全盛
第三章 「でたらめ」「ねつぞう」への転落
第四章 「転進」「玉砕」で敗退を糊塗
第五章 片言隻句で言い争う陸海軍
第六章 埋めつくす「特攻」「敵機来襲」
第七章 政治と報道の一体化がもたらした悲劇
読書時間:短 ■■■□□ 長
読み易さ:易 ■■■□□ 難
<一節ピックアップ>
「こうした歴史の話は、政治信条などを横に置いて、しばしば「面白く」消費できる。本書もここで閉じて、単なる歴史の読み物とすることも不可能ではないかもしれない。しかしながら、歴史を「面白く」消費できるのは、われわれの社会が一定の状態にあるからである。たとえば、政府がひとびとの思想や言論にたやすく介入し、特定の歴史観以外を認めないような社会では、歴史を「面白く」消費することなどできはしない。」
<あわせて読みたい>
・「ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問/茂木誠」(SB新書)
・「新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス/池上彰、佐藤優」(文春新書)
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