「火星に住むつもりかい?/伊坂幸太郎」(光文社)
「中世の魔女狩り」が、「平和警察」によって現実となった世界の話です。
いまでこそ、魔女狩りは危険思想だという概念が一般的になりましたが、現在の世界において、果たしてその危険思想が全くなくなったと言えるでしょうか。
『危険な人間が危険人物となるわけではなくて、危険人物と指された人間が、危険人物になるだけだ』
この一節に、集団心理の怖さ、さらには集団を管理するルールから逃げることのできない怖さを感じました。
<一節ピックアップ>
「田原さんがどう考えようと、どれだけ不満があろうと、今のこの社会を生きていくしかないよね。ルールを守って、正しく。気に入らないなら、国を出ればいい。ただ、どの国もこの社会の延長線上にある。日本より医療が発達していない国もある。薬もなければ、エアコンもない。マラリアに怯えてばかりの国だってある。この国より幸せだと言えるのかな。それとも、いっそのこと火星にでも住むつもり?」
<あわせて読みたい>
・「一九八四年[新訳版]/ジョージ・オーウェル」(ハヤカワepi文庫)
読書時間:短 ■■■□□ 長
読み易さ:易 ■□□□□ 難
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