カエルの楽園/百田尚樹

2016年12月31日 13:00

『寓話から読み取るもの』 

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カエルの楽園

カエルの楽園/百田尚樹」(新潮社)


ある2匹のカエルの旅物語を描いた寓話。

ソクラテスとロベルトの暮らす平和なアマガエルの国が、ある日凶悪なダルマガエルによって地獄に変わりました。

命からがら逃げのびた彼らは、争いのない「カエルの楽園」を探す旅に出ることを決意します。

旅の過程でたくさんの国々を訪れますが、どこにも争いのない国なんてありません。

しかし希望を捨てることなく足を進める2匹。

そこに突然、はるか高い壁が目の前に立ちはだかります。

登るにしても足を踏み外せば命はありません。

旅もここまでかと諦めかけましたが、引き返すところなどどこにもありません。

意を決して壁を上る2匹。

必死の思いでたどり着いた頂上には、小さなツチガエルたちが幸せに暮らすナパージャという国がありました。

果たしてそこは、ソクラテスとロベルトが探し求めた「カエルの楽園」だったのでしょうか。

物語はここから、大きな転換を迎えていくのでした。

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寓話は昔から、世相を風刺するための手段でもありました。

2匹のカエルが辿り着いた国「ナパージャ」は「NAPAJA」。転じて「JAPAN」を隠喩しているのでしょう。

そしてこの国の平和を守る「三戒」の存在や、ツチガエルたちの歌う「謝りソング」。

陰から治安を守る「年老いた巨大なワシ」と、高い壁を這い上がろうとする「不気味なウシガエル」たち。

ナパージャという国が置かれている状況をこの寓話から読み取ることで、実際の日本の状況について思慮してみるのも面白いかもしれません。

読書時間:短 ■■□□□ 長
読み易さ:易 ■□□□□ 難

<一節ピックアップ>

「一つ目は『カエルを信じろ』。二つ目は『カエルと争うな』。三つ目は『争うための力を持つな』。この三つがぼくらの三戒です」

「カエルを信じろって-要するにほかの種類のカエルも信じるということか」

「そういうことです」

<あわせて読みたい>

「海賊とよばれた男 上・下/百田尚樹」(講談社)

「一九八四年[新訳版]/ジョージ・オーウェル」(ハヤカワepi文庫)


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